お寺の庫裏の改修工事です。

設計は、奥野八十八先生（アトリエブリコラージュ一級建築士事務所）です。

 

ひとつひとつ表情の異なる４つの中庭からは明るい陽射しが入り、大きな吹き抜けが開放的で心地良い空間をつくっています。

設計士の先生こだわりの造り付け家具や、できるだけ自然素材を取り込んだインテリアは、しっくりと住む人になじむような安心感があります。

 

■施主様のご要望は

・現状（改修前）の使い勝手が悪いので、便利で快適に使えるようにしたい

・あちこち老朽化が激しく、耐震も不安

・全体に陽が入らず暗いので、何とかしたい

 

■ご要望をもとに、設計士の奥野先生が考えたこと

・動線と機能を整理し直して、お寺さんならではのパブリックな部分とプライベートな住まいのスペースの両方を快適に使えるようにした
・日本建築ならではのおおらかなで開放的な間取りの良さを生かしながら、耐震補強を施した
・長年の増改築で庭が失われて暗くなっていたので、部分的に減築を行い坪庭をひとつ増やした
・元々あった中庭、物干しだった外部空間、新たに設けた坪庭、単なるアプローチだったスペースをそれぞれ表情の違う４つの庭に仕立てなおして、季節や天気の移り変わりが感じられる住まいにした
・暗かった２階には天窓を効果的に設けて、明るく健康的な空間にした

 

■奥野先生が設計上こだわった点

・オープンなプランのキッチンなので、他の造り付け家具と素材を揃え、上質な家具のようにキッチンをデザイン
・古いものの良さ、風情に見合うように、できるだけ自然素材を取り込んだインテリアにした
・２階の天井は安価で素朴な素材の見せ方を工夫することで、部屋ごとに違った表情を楽しめるようにした 

 

今回の改修工事は、こだわりの設計士と多くの職人さん（大工や左官屋さん、電気屋さんなど・・・）によって完成しました！

　古い建物の外側を残しつつ進める工事は、なかなか設計図面通りにはいきません。設計士の先生と綿密な打ち合わせを毎週１回行い、その場その場で臨機応変に対応しながら工事をすすめました。設計士の先生のイメージと、現場での判断をすり合わせていく工事は難しくもありますが、面白くもありました。　　　（写真：母倉知樹）